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木村進さんの吉本新喜劇で関西のお笑い文化にカルチャーショック!

 

大学に行くため、18歳で新潟から京都に出てきました。

当初、友達もおらず、下宿で退屈しのぎにテレビを付けたら衝撃的な場面に出くわしました。芸人さんが、座布団の上で正座したまま飛び上がっていたんです。

 

それが木村進さんを見た最初です。これは芸風か!体張り過ぎちゃうの?っていう印象でした。

最初は吉本新喜劇を見てもどこで笑っていいのかわからず、吉本そのものがカルチャーショックでした。

18歳まで新潟に住んでいたので、お笑いと言えば『ドリフターズ』オンリーでした。

でも、漫才では、「やすきよかしまし娘正司敏江・玲児夢路いとし・喜味こいし」その他多数の全国区の方々が活躍されていました。

 

しかし、吉本新喜劇のコメディーは、新潟育ちの私にとってはカルチャーショックだったのです。笑う場面がどこかわからない…笑えない…会場では盛んに笑い声が起こっているのに。

東のお笑いコメディーに慣れ親しんだものにとって、吉本新喜劇が織りなす場面は「あ~、とんでもないところに来てしまったんだ」という恐怖心すら感じさせるものでした。

 

今でこそ、東京方面でも、東京MXテレビ吉本新喜劇が放映されているようですが、当時は関東甲信越で、吉本を放映していた局は皆無だったはずです。

それほど東の文化にどっぷりつかった人間にとって吉本新喜劇は違和感のあるものだったのです。万人受けするのなら、キー局が飛び付いていたはずですから。

木村進さんのギャグに魅了されていきました。

座布団の上で正座したまま飛び上がるギャグ、「イーッヒッヒッヒッ」と奇声を発する独特な笑い声、おばあちゃんキャラなどを見るにつけ、そのテンポのいいコメディーに次第に魅了されていきました。

慣れと言いましょうか。郷に入れば郷に従え!ですね。

 

吉本の世界に引き込まれていくんです。

今でも鮮明に覚えている木村進さんの姿があるんです。彼のおばあちゃん役でした。おばあちゃんの体をデフォルメした芸です。最初見たときは「こんなんテレビで出していいの!?」と驚きました。

 

ドリフターズの世界では、人の体、しかも女性の体をデフォルメするギャグなんてありませんでしたから。これが関西のお笑い文化なのか!なんて一人で納得していました。

でも、生々しくはなく、あくまでもギャグの世界です。笑えましたねぇ。

 

このおばあちゃんの体をデフォルメしたギャグは、桑原和男さんも得意としていましたね。私の小学校の娘は吉本新喜劇大好きですが、桑原和男さんの芸をジ~ッと見ていました。親子で見ても違和感はもちろんありません。

 

しかし、吉本新喜劇を初めて見たとしたら、その人は顔をしかめるんでしょうね。容易に想像できます。「教育上の配慮が足らん!!」とか言いだすかもしれません。

 

※教育上よろしくない…なんてのはドリフターズ全盛の頃も盛んに言われていました。食べ物を粗末に扱うのは子供に悪影響を及ぼす、なんてね。『こんな番組は即刻中止にすべきだ』という意見が新聞の声欄で多数紹介されていました。

でも、よ~く考えると、親が子供に見せなきゃいいだけですよね。私は当時まだ未成年だったんですが、このアホ親の考えることこそよくわからん、と思っていました。

いっぱしの知識人みたいに盛んに声を上げている人が本当に大勢いました。しかし、元凶というのは、その番組を子供と一緒に見ている親であり、子供に見させている自分を反省すべきだったんですけど。

 

吉本新喜劇にはそんな低レベルの反論はなかったはずです。そこが関西人の、西の文化の寛容性でしょうか。

面白くて、何ら害がないのだから、かめへんのちゃう!って感じでしょうか。

 

女性の、おばあちゃんの体をデフォルメしたとしても、実態がそんなに変わらないのですから^^

 

昔の子供はみんな知っていたはずです。おばあちゃんになると、あんなふうになるんだって。だって、一緒にお風呂に入ったりしていましたから。

 

木村進さんには今でも感謝しています。

まだまだお若いのに、木村進さんは旅立たれました。若い時分に脳出血で倒れたときもショックでした。

しかし、旅立つにはまだ早すぎました。

 

個人的に、木村進さんがジャッキー・チェンに似ていると思っていました。いや、もっと端正なのはわかっています。

男前で面白くて華がある、そんな彼が好きでした。

もっともっと、その芸風を楽しみたいと思ったものです。何よりも、東のお笑いしか知らない私を関西のお笑いに引っ張り込んでくれたことに感謝しています。

 

関西人が2人いたら芸が始まる…なんて言われていますが、それホントかもしれません。笑かすために一生懸命になるのが関西の人々です。笑えていればみんなが幸せになるんですよね。

 

木村進さんの吉本新喜劇はカルチャーショックでしたが、それが今の私の話し方のベースになっているかもしれません。

相手を気遣いながら笑かすんです。

 

木村さんのご逝去は本当に残念です。私の青春の一ページにくっきりと刻まれた方でした。謹んでお悔やみ申し上げます。