Ilovecats blog

疑問に思ったことは掘り下げてみたいよね!

組み体操の人間ピラミッドを怪我人出してやることに教育目的あるの?

 

子供の命を助けてほしい」とのメッセージがツイッターで拡散され騒動になりました!

事の発端は、大阪府東大阪市立小学校3校の運動会で予定されていた7段の人間ピラミッドです。なんと、そのうち1校は5段の人間タワーも練習していました。

 

ツイッター拡散で騒動になり、意見を求められた吉村洋文大阪府知事は「重大な事故が起きている。やめるべきだ」と言い切りました。結局、この3校は人間ピラミッドを3~6段に、人間タワーを3段に減らして実施しました。

 

組み体操のピラミッドやタワーは、致命傷にいたる危険性が指摘されて久しいです。なぜ未だに根強く続けているのでしょうか。これって、児童や生徒への間接的虐待にならないのでしょうか?

人間ピラミッドや人間タワーは体罰ではないのか?

 

学校教育法
第十一条
 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。

 

昨今は体罰厳禁、絶対に体罰は許されないという機運の高まりがあります。

でも、一向に体罰が減らないというのが現実です。それだけ、教員や学校の体罰に対する認識が甘いのです。いや体罰とは何かをそもそも認識していないとも言えます。

 

ちなみにですが、文部科学省のホームページではこのように解されています。↓ ↓

学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例
○ 被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
 ・ 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
 ・ 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。
 ・ 宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるよう言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。

   

児童や生徒の100%全員が、人間ピラミッドや人間タワーを容認して積極的に取り組んでいるということはないでしょう。 こんな声もあります。

たった4段のピラミッドの下段を経験したけど、痛い、重い、苦痛以外の思い出はない。膝に石がめり込んでも払うことも許されず、最後ピラミッドのまま崩れなきゃいけなくて、何のためにあんな事をしたのか、今でも分からない。

 

このように、中には人間ピラミッドで苦しむ生徒もいるんです。ひょっとしたら、大半の生徒が実は人間ピラミッドなど嫌で嫌で仕方がないと思っているのかもしれません。

 

しかし、児童や生徒は組み体操の人間ピラミッドを拒むことはできません。教員や学校組織からの、強大な無言の圧力があるためです。

一生徒の意見など取り上げられるはずもありません。

 

そうなると、肉体的苦痛を本当は訴えたいのに、我慢せざるを得ない状況を考えた場合、文部科学省の児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例が類推されるとは言えないでしょうか?

つまり、拒絶できない状況の中で「肉体的苦痛」を与えていることと等しいと考えられます。

 

組み体操の人間ピラミッドや人間タワーの是非を児童や生徒にアンケートを求めたとしても、無意味ですね。大半の児童や生徒は学校側の無言の圧力を感じるためです。こぞって賛成という結果になるのは目に見えています。

 

だからこそ、大人の叡智が必要になるのです。

・長年の伝統となっている

・子供が人間ピラミッドや人間タワーにあこがれを持っている

人間ピラミッドや人間タワーを成功させるという意欲をくんでやりたい

…なんてまやかしの理由で片づけられるほど単純な問題ではありません。

 

なぜなら、100m走などと違い、危険の度合いが格段に高いからです。走って転んだとしても怪我の可能性がありますが、人の上に人が乗り、それが何段にもなった場合、上からの重さの故に体が潰されるという恐怖と闘う必要があります。

 

少しでもバランスを崩したときは、自分の上に何百kgもの負荷がかかってしまうのです。大人でも一瞬の負荷には耐えられませんし、重篤な事態になることは容易に想像できます。

 

ましてや、骨格や筋肉が発達段階の児童や生徒であれば、その負傷の程度は小さくないでしょう。よく、学校側は「安全面には十分な配慮をしている」などと言いますが、それではだめなんです。

注意していても事故は起こり得ます。特に人間ピラミッドや人間タワーを児童や生徒がやるときには100%の安全が絶対的に必要になります。

教師や学校がどうしても人間ピラミッドや人間タワーに固執するのなら。

ごく一部だと思いたいのですが、人間ピラミッドや人間タワーに固執する保護者や教師がいます。

 

もしもですが、人間ピラミッドや人間タワーを続けたいのであれば、まず「教師」と「児童や生徒にやらせたい保護者たち」だけで7段ピラミッドを作り、安全に問題がないか検証してから実施すべでしょうね。もちろん、校長先生も参加の必要があります。

何回も何回も検証を繰り返すべきです。「もう年だから」「腰が痛いから」なんて理由で辞退するのは言語道断です。小さな児童にも無理やりやらせているのですから。

 

さらに意図的に部分クラッシュをさせて、その場合でも安全に介助できるんだということを何度もテストします。そこで初めて生徒に実施させることができると思います。

 

つまり、大人たちによって、危険性の検証と実験を繰り返すわけです。この程度の事ができないのであれば、危険性が認識され、現に事故が起こっている人間ピラミッドや人間タワーは即刻全国的に禁止すべきです。

人間ピラミッドや人間タワーのほかにも達成感や協調の精神を養う方法はあるでしょう!

伝統的なことを重んじる教師に限って、人間ピラミッドや人間タワーは児童や生徒の達成感を高揚するのに最適なんだ…なんてことを言います。

ほかの手段で達成感や協調の精神を培うことは、もちろん可能ですよね。

 

ほかの手段を考えられないほど、想像力が稚拙な教師がたくさんいることも人間ピラミッドや人間タワーが平然と行われている原因だと思います。

 

現に危険なんです。事故も起こっているんです。学校行事なのに100%の安全は保証されないんです。

児童や生徒に現実的に肉体的苦痛を与えているわけです。人間ピラミッドや人間タワーは肉体的苦痛を強要する手段だということを十分認識すべきときです。

さいごに

伝統がある、今まで続けてきた、などという陳腐な理由で、危険性が現存する学校行事をこれ以上継続すべきではないと考えます。

事故の故に障害を負った児童や生徒も報告されています。

 

その手の事故にあまりにも目をつぶり過ぎです。悲惨な事故が教訓として生かされていません。

学校行事の中に、「死」も想定できる場面があることは、到底容認できることではありません。

 

鍛えられた人間が自ら希望してする場合には例外として認める余地もあるでしょう。しかし、義務教育の学校行事の中で危険性が明確にわかっているものは即刻排除すべきです。