Ilovecats blog

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イッパイアッテナとデビルはどうやって仲直りをしたのか?

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デビルのだまし討ちにあって瀕死の重傷を負ってしまったイッパイアッテナですが、物語が終わるころには大の仲良しになっています。もともと、イッパイアッテナが飼い猫だったとき、イッパイアッテナとデビルの家は隣同士で、その時は仲が良かったのですが・・

2人はどのように仲直りをしたのでしょうか。デビルが「ごめんね」と謝罪したのでしょうか。ちょっと探ってみました。

映画ノベライズ版では、どのように描かれているのか!

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イッパイアッテナが怪我をしたのは、11月のことです。その怪我も治り、厳しい冬が過ぎ、桜の咲く春になりました。

イッパイアッテナが前に住んでいた家が取り壊され、そこに新しい家が建ち始めたのです。ルドルフは、最近イッパイアッテナが頻繁にその建てられ始めた家を見に行っているというので、自分でも見にいくことにしました。ルドルフには、なんでイッパイアッテナがその新しい家をそんなに気にするのかわかっていませんでしたが。

工事中の新しい家を見に行ったとき、ルドルフはデビルと話をするのです。デビルの家は、イッパイアッテナが住んでいた家の隣ですから。

デビルは、 「こっちにきてくれ。」 といって、イヌ小屋の前にすわった。 ここまできたんだ。これでにげたら、デビルに臆病者だとわらわれる。 ルドルフはゆっくりイヌ小屋にちかづいた。 すると、デビルは自分のえさいれをそっと前におしだした。 ローストビーフがふたきれ入っている。しかも、特大! 「これは・・・?」 とルドルフがきいたときには、もうつばが出てきた。 「朝飯ののこりだが、いつか、タイガーにわびを入れて、それで、なんていうか・・・。」 デビルが先をいいしぶったので、ルドルフがかわりにいった。 「ともだちになりたいとか?」

デビルがイッパイアッテナに詫びを入れたい、つまり謝罪したいのだとわかります。ルドルフは二切れのローストビーフをイッパイアッテナのところまで運んで行きました。

イッパイアッテナは、「デビルのやつ・・・」と言っただけで、ローストビーフをガブガブと食べたのです。

その後、ルドルフがヒッチハイクで岐阜に帰る前夜のお別れパーティーで、ルドルフ・イッパイアッテナ・デビル・ブッチーの4匹は仲良く宴会を繰り広げます。つまり、イッパイアッテナとデビルだけの仲直り場面は描かれていないことになります。

原作では、イッパイアッテナとデビルだけの明確な仲直りシーンはあるのか?

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原作で、ルドルフがデビルと話すきっかけとなったのは、家が建ち始めたからではありません。ある日、ルドルフとブッチーが犬のポインターに襲われたところをデビルが助けます。そのお礼を言いに、ルドルフがデビルに会いに行ったことがきっかけとなっています。

デビルは玄関のほうに歩きだした。 「この中に、ステーキののこりが入ってる。ぜんぶ食ってもいいぞ。」 デビルは、玄関のわきにおいてあったせんめんきを鼻でおした。そばによって、中を見てみると、なるほど、タバコの箱くらいのステーキが食べのこしてある。 「それじゃ、半分食べて、のこりの半分はイッパイアッテナのおみやげにしていいかな。」 「イッパイアッテナ?あ、タイガーのことか。かまわねえけど、あいつはたぶん、おれからもらった肉なんか、食わねえだろうな。」 デビルはすこし悲しそうな顔をした。

映画ではローストビーフですが、原作ではステーキです。ステーキは特大ではなく、タバコの箱くらいのものが一切れです。これって、時代背景とビジュアルの問題が大いに関係しています。

いくらなんでもワンちゃんのご飯に特大ローストビーフを2枚用意する家はそうそうないでしょう。タバコの箱くらいのステーキが一切れあるだけでも、ルドルフとイッパイアッテナ』が最初に書かれた当時(1986年~)では、とんでもない贅沢ですし、ご馳走だったはずです。

また、ビジュアル的には、小さいステーキひと切れをさらに半分個にするよりも、特大ローストビーフ2枚のほうがはるかに視覚に訴えます。ですので、映画ノベライズ版では後者の選択になったと思います。

イッパイアッテナがデビルのステーキを食べるとき、「いつまでも、うらみつらみをのこしといたんじゃあとあとよくないからなあ。」と言っています。しかし、それから、ルドルフのお別れパーティーまでは、やはり映画ノベライズ版と同じで、イッパイアッテナとデビルの仲直りシーンは具体的には描かれていません。

あえて物語を見せないことで、イッパイアッテナとデビルの友情が深まったことがわかります!

「黒い猫の歌」コラボ映像

たとえば、デビルがイッパイアッテナに「この前は、だまし討ちしてゴメン」と言い、イッパイアッテナが「いいよ、もう怒ってないよ」なんて場面があったとしたら・・

かなり陳腐な物語になってしまいます。保育園や幼稚園の年少さんなら、悪いことをしたら謝るって、そういう教え方も必要でしょうが、『ルドルフとイッパイアッテナ』は大人も子供も楽しめる児童文学というのが出発点です。

イッパイアッテナとデビルの、以前にもまして強固な結びつきが想像できる仕上がりになっているのは、見事としか言いようがありません。 [ad#rudo]